2021年9月6日月曜日

日本の音楽業界はもうオシマイ

 いやーほんとにね、誰もが思ってなかったよね。コロナ禍がまさか、まだ続いているなんてね。去年の4月に緊急事態宣言が初めて発令されて、ライブ関連のイベントごとは全部中止になってしまった。それまで全く馴染みのなかった配信ライブ、なんていう言葉も、もうすっかり定着したよね。少なくとも現地に行かなくても観られるという選択肢が増えたことは良かったんじゃないかな。おそらく、コロナが流行っていなかったら今まで通りおんなじだっただろうしね。昨年末のサザンオールスターズのライブも配信で観たけれど、家族で盛り上がってさ、それはそれは最高だったよ。

ただそんなことをやっていても、やっぱり実際に現地で観る感動っていうのは何にも変えられない体験になることは間違いない。コロナウイルスの流行から一年半が経って、最近だとようやくツアーを回るようなアーティストもちらほらと出てきた。びっくりしたのは、アメリカとかイギリスのライブを観てみたらさ、もう観客はみんなマスクしていないのね。国民性というか、ワクチンを摂取して、ウイルスの陽性反応も出ていないからオッケーっていう感じなんだろうか。電車の中とか、道を歩いていてもみんながみんなマスクをつけている日本人はなんて律儀なんだろうと思っちゃうよね。そういう自分ももちろんマスクをつけているんだけど。

じゃあ、日本も世界的にみて感染者が少ないから、マスクなしでワクチンを打った人はこれまでとおんなじようにライブを観戦できるようにすればいいじゃんと思う人もいるかもしれない。まあ、実際いるんだろうけどね、自分はそっち側の人間にはどうしてもなれない。もちろん、音楽は好きだよ。でもね、今の状況で音楽をライブというフォーマットで体験するという行為はイマイチ気が向かないのがホンネ。大衆が音楽を生演奏で、聴くことができるようになったのって、ほんの百年ぐらいのお話なんだよね。ポピュラー音楽に限って言えば、日本でその文化が根付き始めたのはもっと最近のはず。辺鄙な山奥——っていうのはちょっと言い過ぎだけどさ、アーティストが街きてくれない、なんていう地域だって日本にはまだまだ沢山ある。首都圏の特に、東京の〇〇系なんていう音楽があるけれど、それを聞く度に虫唾が走っちゃうよね。音楽は、一部ではなくどこにでも鳴ってるし、鳴らせるんだよ。その方法が限られちゃうっていうだけ。

だから何が言いたいかっていうと、音楽を聴く上でライブっていうフォーマットが必要不可欠なものじゃないんじゃないかってことに気がついたんだ。オレは北国の田舎で生まれ育って高校を卒業したと同時に、関東の方にやってきたんだけど、それまでライブっていうライブは一度も観に行ったことがなかったのね。だからさ、関東の高校生とかは羨ましいなって思っちゃうよね。だって、電車でちょいちょいって行けば、すぐに観たいアーティストが観られるんでしょ。友達とフェスに行ったりさ、なんていうか田舎者の自分からすればその辺はいいなぁって思っちゃう。でも、高校の時は、ライブに行きたいなっていう感情にはあまりならなかった。別に天邪鬼っていうわけじゃなくて、部屋のコンポとか、イヤホンから聴こえてくる音楽で満足だったわけ。

今は関東にいて、コロナでライブが中止になる前は自由に色んなアーティストを観に行ってた。でも、去年と今年は、高校の時を思い出した。ライブに行けない、というかとにかく音楽を部屋に籠って(別に籠もらなくてもいいんだけど)聴くっていうやつ。いざその頃みたいに音楽を聴いてみるとこれも音楽の聴き方としては全然悪くない、っていうことに気がついた。で、今も何のストレスもなく生活できてるんだよね。そんなわけで、オレにとってライブはほんとに必要なものだったのかなぁ、って改めて思ってしまったのよ。そんな引き籠り音楽ファンになってしまった自分にとって、今年のフジロックフェスティバルの開催は頭の上にクエスチョンマークがつきまくった。そもそも感染者が爆発的に増加している状況で開催に踏み切るのは全く理解ができなかった。誰にも迷惑をかけないなら全然いんだけどね。今回ばかりはそうはいかない。

あと、以外に痛手だったのは音楽イベントに対するイメージが悪くなってしまったっていうこと。世の中っていうのは結局イメージで動いているもんなのよ。一度悪いイメージがついてしまうと、それを払拭するには途方もない時間がかかるはずなんだよね。出演者のコメントもとことんダサかった。特にKing Gnu。なんか、何が正解なんだかわかんないけど、俺たちは悩みながら、でも結局音楽が好きだからさここに集まってて、みたいな、フワついたコメントされてもなぁと思っちゃった。いや、これがさそのへんのチャラチャラしたバンドが言ったんならふーんって感じで受け流せるんだけど、日本でトップクラスの人気のバンドなんでしょKing Gnu。そんな立ち位置の人間がその程度のことしか言えないっていうのは、日本の音楽業界の行く末が分かっちゃったよなって感じさえしちゃう。

そのちょっと後に、ヒップ・ホップのイベントが大変賑やかで賛否両論買ったけど、これもイメージ悪化に拍車をかけたね。まあ、ヒップホップっていうのは、そもそも悪人で何が悪いっていうスタンスで全然いいと思うんだけどね。下手にすみませんでしたって謝るよりはさ、そういう否定的な意見さえ突っぱねて、我が道を進んで行った方がいいと思うのよ。だってそっちの方がアナーキーじゃないっすか。アナーキーなこと歌ってんのに、政府にヘコヘコしちゃうのはそれこそカッチョわり〜って感じなので、彼らは引き続きド派手に頑張ってほしいよね。もちろん、音楽イベントに対するイメージは右肩下がりになってしまうけれども。

とか何とか色々と書いてきたけどさ、なんかはっきりモノを言うようなアーティストがもっと現れないかなとか思うわけよ。そこに正解とかは全然求めていなくて、とにかく自分の主張を持っているっていうか。今の日本人アーティストにはどうもそれが足りないように思えちゃうのよ。全部が中途半端。去年もそうだけど、今年の日本の音楽業界の立ち回りを見ている限りだと、そういうアーティストは残念ながら現れそうにもない。もう斜陽産業一直線ですよ、日本の音楽業界は。

2020年8月9日日曜日

テレビの奴隷になってしまったエレカシ

いや〜。NHKでやってた「ライブエール」観てたけどさ、もう、テレビにちゃんとした音楽番組を求めるのは無理なんだなと思ったよね。なんと言っても、「音楽でひとつに」、「音楽で勇気づける」、みたいな価値観の押し付けが非常に寒いんだよね。そういうものっていうのは、あくまで曲を聴いて感じるもので、テレビ側が率先して押し付けるものではないと思うのよ。テレビは、良い場所と音響を提供して、最高のカメラワークでアーティストを映し出す、それさえできていれば十分なのに、ほんと余計なことしちゃう。で、今のこの手の番組っていうのは、もうその最低限のことすらできていないのよね。観ていて悲しくなってきちゃったよ、まったく。

その中でも、うわ〜これキツかったなっていうのが、エレファントカシマシの演出で。エレカシって、今年この手の番組(コロナ渦でも頑張ろう的な企画)に3回くらい呼ばれたと思うんだけど、その3回とも全部「俺たちの明日」なんだよね。さすがに、もう、良いっつーの。しかも、生演奏でもなくて、カラオケ垂れ流して、他のメンバーは置物みたいになるっていう。どうせ、こういう大変な時に誰を呼ぼうか。うーん、エレカシ呼ぼう。で、頑張るっていう歌詞が入ってるから「俺たちの明日」を歌ってもらおう。っていうあまりにも安直すぎる思考回路がもう見え見えでキツいキツい。あと、最近のテレビでエレカシが登場する時っていうのは、だいたい宮本が縦横無尽にいろんなところを動き回るっていうやつがあるんだよね。それもさ、カメラマンとか、司会者とかそういうところに行ってくださいねっていう、あからさまな予定調和な感じがして、もう寒気がしたよね。

今回は、宮本が下北沢SHELTERに行って、ライブハウスの現状を特集していたんだけど(その前の「おはよう日本」でも)、そこでさ、「ぜひ、ライブに呼んでください」って宮本が言ってたのよ。あ、これ、テレビと下北沢SHELTERとを繋いで、そこで生演奏するフリなのかなって。普通に考えれば、そう思っちゃうじゃん。というか、ライブハウス的の状況的にもそっちの方が絶対にいいでしょ。で、25年前そこで、苦境になった自分たちを復活づける曲、「悲しみの果て」みたいに紹介されたらさ、もう視聴者は『そこで、「悲しみの果て」演奏したらさぞかしかっこいいだろうなぁ......』ってなると思うのよ。でも、聞こえてきたのはNHKホールでアテ振りの「俺たちの明日」......。

なんかさ、彼らはこんなこと、ほんとにやりたいと思っているのかなと思ってもしまうのよ。まあ、それを快諾したから演奏(?)している訳で。そうなってくるともう、テレビの奴隷じゃん。飼いならしているようで、飼い慣らされてるじゃん。まあ、昨今のテレビは、視聴率を取るために平べった〜い需要にしか答えられないし、そもそもお金もないしで、音楽が好きな人はもちろん、それを観て音楽を好きになる程の感動をもたらすものは作れないんだろうね。宮本がDragon Ashと「ガストロンジャー」でコラボしたときの尖ったテレビはどこへやら。悲しくなっちゃうよね、まったく。

2019年8月11日日曜日

今、B'zを聴かない奴はどうかしてると思う

  SUMMER SONIC 2019、日本人初のヘッドライナーはB'zです。このニュースを見てあなたはどう思っただろうか。もしもそれがネガティブな意見であったとしたら、まずは最新作『NEW LOVE』を聴いてから、もう一度判断してほしい。このアルバム、ほんとに凄まじい。ちなみにこれは、B'zのことを肌身離さずいつも聴いているようなファンではない人間が勧めているんだからなおさらだ。

 正直筆者は、彼らの作品倒的に90年代の後半が最高だろと思っていた口で。2010年代以降の彼らのスタジアム・ロックというか、80sハード・ロックの再解釈みたいな音楽にはあまり興味を持てなかった。その音楽性で、おやっと思い始めたのは前作の『Dinasour』から。ちょうどこの頃ってのは、彼らはキャリア史上初めてロッキン・ジャパン・フェスに出演したりと、改めて彼らの凄さを世に知らしめさせるきっかけになっていて。で、なんといってもそのサウンド、本当に洗練されていて、アグレッシブで、けれどもハード・ロックの伝統的な作法を入れ込んでいて…。とにかく、聴いた瞬間にブワーっと湧き上がるものを感じたんだよね。

 この作品が2010年代のB'zの総決算的な作品だとしたら、今作の『NEW LOVE』は31年目、B'zの今歌いたいコト、出したいサウンドがきゅっと凝縮されたような作品。「Da Ra Da Da」は、これぞ松本孝弘の趣味と言わんばかりの80sのハードロックの雰囲気がビシビシ感じられて最高だし、詞の方にも稲葉浩志の人生の重みみたいなのが歌詞に現れている。特に、「兵、走る」では〈ゴールはここじゃない まだ終わりじゃない〉と、31年目のキャリアに至ってもなお高みを目指し続けるような宣言のように聴こえるし、「ゴールデンルーキー」は、若者に向けられた応援が説得力を持って訴えかけてくる。

 そして、バンドメンバーの大幅な変更も、このアルバムを語るうえで欠かせない。特に若干23歳でベーシストに抜擢されたモヒーニ・デイの存在感というのは、バンドのイメージを変えるくらいのものがあるんだよね。ジェフ・ベックやスティーヴ・ヴァイなどのスーパーギタリストたちと共演してきたっていうのもあるけど、それがB'zのサウンドにフレッシュなものをもたらしているというか。特に、「恋鴉」なんかは今までのB'zではありえないようなセッションだ。ボーカルとギターだけで押していくんじゃなくて、芯の部分の音像がくっきりと浮かび上がってくるというか。とにかくグルーヴィーで、結果としてボーカルとギターの魅力が増幅されている、最高の楽曲なんだよね。

 ルーティンワークっていう言葉があるけど、彼らは間違いなくそんな中で楽曲を作り続けてる。けれども確実に、その姿を変えながら進化を続けている。でも、その変化っていうのは中々わかりにくいのがオチ。世間の人にとっちゃあ、「また、B'z新作出したのね」くらいになってしまいがちというか。そんな中でもこの作品は、ルーティンワークの変化が分かりやすい作品だと思う。いままでB'zを聴いていなかった人、それよりももう聴かなくなってしまっていた人にこそ聴いてほしい作品だ。



2019年7月13日土曜日

The Strokes『Angles』(2011) は今聴いた方がかっこいい

正直言って、なんでこのアルバムが低評価になっているのか俺にはさっぱりわからないよ。ギターの音が少ない? リバイバル・ロックを継承していない? そんなことはリスナーが勝手に作り出した、ただの妄言じゃないの。だって彼らは、ロックバンドとして常にかっこいいものを見せようとしているからね。それでも、「Under Cover Of Darkness」だけがかっこいいって? まあ、この曲は確かに1stだとか2ndの頃のストロークスっぽい曲であることは確かだよ。


The Strokes - Under Cover Of Darkness

でもそれがさ、"本来のストロークス"であるか、といったらまた話は別になってくるんじゃないかな。2011年の彼らが作ったアルバムはもはやリバイバルでも、ガレージ・ロックでもない。これまでのイメージからもがき苦しんで、抜け出そうっていう感じがするのよね。するとさ、不思議なことに2019年に聴くとこの作品がやけに新鮮に聴こえてくるわけ。なんていうか、当時のサウンドの流行だとかを一切気にしていないんだよね。

去年、ビリー・アイリッシュっていう今、最高のアーティストがこのアルバムに入ってる「Call Me Back」をカバーしていたんだけど、それが本当にかっこよかったの。最初聴いた時は思わず、彼女の新曲かと思っちゃうくらい。でも、よーく聴いたらどっかで聴いたことあるよな、これってなったわけ。全然古臭くないし、すごく新しい。やっぱりそれはさ、流行やバンドのイメージに流されなかったからなのかもしれないよね。評価が低くなる可能性は高くなるけれど。そんなわけで、ストロークスのこのアルバムは、リリース当時、2011年よりも今、2019年聴くに値する作品だと思うのよ。


Billie Eilish - Call Me Back (Cover)


ピンヘッド三浦、始動

俺はピンヘッド三浦、よろしく。まあ、世の中音楽が溢れかえっているわけなんだけれど、ロックはサイコーってことでね。"イカシタ"ロックナンバーを紹介していきます。