2019年8月11日日曜日

今、B'zを聴かない奴はどうかしてると思う

  SUMMER SONIC 2019、日本人初のヘッドライナーはB'zです。このニュースを見てあなたはどう思っただろうか。もしもそれがネガティブな意見であったとしたら、まずは最新作『NEW LOVE』を聴いてから、もう一度判断してほしい。このアルバム、ほんとに凄まじい。ちなみにこれは、B'zのことを肌身離さずいつも聴いているようなファンではない人間が勧めているんだからなおさらだ。

 正直筆者は、彼らの作品倒的に90年代の後半が最高だろと思っていた口で。2010年代以降の彼らのスタジアム・ロックというか、80sハード・ロックの再解釈みたいな音楽にはあまり興味を持てなかった。その音楽性で、おやっと思い始めたのは前作の『Dinasour』から。ちょうどこの頃ってのは、彼らはキャリア史上初めてロッキン・ジャパン・フェスに出演したりと、改めて彼らの凄さを世に知らしめさせるきっかけになっていて。で、なんといってもそのサウンド、本当に洗練されていて、アグレッシブで、けれどもハード・ロックの伝統的な作法を入れ込んでいて…。とにかく、聴いた瞬間にブワーっと湧き上がるものを感じたんだよね。

 この作品が2010年代のB'zの総決算的な作品だとしたら、今作の『NEW LOVE』は31年目、B'zの今歌いたいコト、出したいサウンドがきゅっと凝縮されたような作品。「Da Ra Da Da」は、これぞ松本孝弘の趣味と言わんばかりの80sのハードロックの雰囲気がビシビシ感じられて最高だし、詞の方にも稲葉浩志の人生の重みみたいなのが歌詞に現れている。特に、「兵、走る」では〈ゴールはここじゃない まだ終わりじゃない〉と、31年目のキャリアに至ってもなお高みを目指し続けるような宣言のように聴こえるし、「ゴールデンルーキー」は、若者に向けられた応援が説得力を持って訴えかけてくる。

 そして、バンドメンバーの大幅な変更も、このアルバムを語るうえで欠かせない。特に若干23歳でベーシストに抜擢されたモヒーニ・デイの存在感というのは、バンドのイメージを変えるくらいのものがあるんだよね。ジェフ・ベックやスティーヴ・ヴァイなどのスーパーギタリストたちと共演してきたっていうのもあるけど、それがB'zのサウンドにフレッシュなものをもたらしているというか。特に、「恋鴉」なんかは今までのB'zではありえないようなセッションだ。ボーカルとギターだけで押していくんじゃなくて、芯の部分の音像がくっきりと浮かび上がってくるというか。とにかくグルーヴィーで、結果としてボーカルとギターの魅力が増幅されている、最高の楽曲なんだよね。

 ルーティンワークっていう言葉があるけど、彼らは間違いなくそんな中で楽曲を作り続けてる。けれども確実に、その姿を変えながら進化を続けている。でも、その変化っていうのは中々わかりにくいのがオチ。世間の人にとっちゃあ、「また、B'z新作出したのね」くらいになってしまいがちというか。そんな中でもこの作品は、ルーティンワークの変化が分かりやすい作品だと思う。いままでB'zを聴いていなかった人、それよりももう聴かなくなってしまっていた人にこそ聴いてほしい作品だ。



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